ネガカラーフィルムとモノクロフィルム |
この「銀塩」って何? シリーズ、その1では主にフィルムについて、その2で現像とプリントについて、ざっくりと説明してみました。
ですが、写真ってモノクロだけではないですよね。カラー写真というものがあります。むしろカラーのほうが一般的でしょう。美写の写真展『街角遭遇2019』でも、半分近くがカラープリントでした。
あれも銀塩写真と呼んでいるけれど、銀なのでしょうか。綺麗な色が付いてるけど…??
最初に答えを書いてしまうと、完成したプリントの画像はすべて色素でできていて、銀は入っていません。現像したフィルムも、画像をつくっているのは色素で、やはり銀はありません。
より正確に言うと、「銀は使われてたけど残っていない」です。…と書くと、昔のカラー写真には銀が使われていたけど、現代の写真には使われてないのかな、と誤解されそうですのであわてて補足説明してみます。
カラー写真は、撮影したばっかりのときには銀塩モノクロなんです。えっ???
じつは、モノクロフィルムと同じく、カメラに入れてシャッターを切ると「ハロゲン化銀」に光に当たって潜像核ができる。ここまではカラーフィルムでもまったく同じなのです。
この撮影したフィルムを現像するときに、ちょっとした仕掛けがあります。
現像は「還元反応」だ、という説明をちらっとしましたが、還元すると副生成物として酸化物ができます。ええと、ややこしいのではしょりますが、現像した分量(=当たった光の強さ)と同じだけ、廃棄物みたいなものができるということです。
これはモノクロのときは文字通り廃棄物で、いらないから捨てちゃうのですが、カラーフィルムの場合は、この生成された酸化物に反応して色が出る、「発色カプラー」というものがフィルムに塗り込んであるのです。
色というのはそれぞれ光の屈折率が違うので、うまいこと赤、緑、青に反応する発色カプラーを重ねてフィルムに塗っておくことで、それぞれの色が出現し、できあがりを見るとちゃんとカラー画像になる、というわけ。この現像をカラーの場合は「発色現像」といいます。
現像量に応じて発色量が決まるので、現像されなかった(=光に当たらなかった)部分は、カプラーが反応しないので色は出ません。
結果的に、モノクロだったら銀の濃淡になるのと同じ場所に、同じ具合の濃淡で、色素による色が付いた映像が写っている、というメカニズムになっています。
(後半に続きます)
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