2019年7月6日土曜日

「銀塩」って何…?(その1)



写真展の受付をしているとき、見に来てくれた方に「デジタル写真を加工して白黒にしてるんじゃないんですか!」と聞かれて、いやいや最初からモノクロなんですよー、などと答えていたのですが、『銀塩写真サークル』『銀塩写真展』を名乗っていても、うまく説明できなかったなあ、と思いまして、ちょっとここでまとめてみようかと。

まずギンエンの「銀」。これは文字通り本当にあの金銀銅の「銀」でして、シルバーアクセやら銀食器やら銀メダルやらに使われる、貴金属の「銀」です。写真は銀色に光ってないじゃないか、と思われそうですが、ともかくあのモノクロプリントの黒い部分はほんとに「銀」でできているのです。

そして「塩」。しお、じゃなくてエンと読む場合は、何かと何かの化合物、という意味合いになります。中学校の理科の実験で、塩酸とナトリウムを中和させて「食塩」を作った経験があるかも知れません。塩化ナトリウム、とか言いますね。同様に、写真の感光材料は、金属の「銀」と、何かとの化合物なのです。ではその何か、とは何か?

水兵りーべー僕の船、で有名な(?)元素周期表というのを見たことがあるかと思います。水素・ヘリウム・リチウム…、と、世の中の元素を軽い順(原子量の順)に並べて表にしたもの。縦の列の元素が似たような性質を持っています。これの、右から二番目、第17属、といいますが、この列の元素グループのことを「ハロゲン属」といいます。高校の化学か物理で習ったかも知れません。覚え方は「ふっくらブラジ(以下自粛)

…この、ハロゲン属の原子と、金属銀との化合物が、光が当たると黒くなる(というかまあ、性質が変わる)ことが分かって、写真の材料として使われるようになったのです。主に、上から二番目の塩素、三番目の臭素、四番目のヨウ素、と銀との化合物、塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀、まとめて『銀塩』、の結晶をいろいろ混ぜて、ゼラチンで固めてフィルムや紙に塗ったもの。これが今も使われている写真材料の基本なのです。

映画スターなんかのピンナップ写真を引き伸ばした商品を「ブロマイド」と呼んだりします。最近ではすっかり死語の感がありますけども、あの「ブロ」は「ブロム」から来ていて、原子番号35、原子記号Br、のBromine、臭素のことだったのですね。

(続きます)

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