2019年7月13日土曜日

「銀塩」って何…?(その4)

前回の続きで、カラーフィルムの現像について。
フィルムの銀画像を現像する薬品が反応の結果、酸化物になるのを利用して発色現像をする、という、よくこんな仕組みを思いついて製品化しもんだなあ、というところから。

確かにこれなら、カラー専用カメラ、なんてものを別に開発しなくても、それまでモノクロフィルムを使っていたカメラに入れてそのまま撮影すれば、他は何も替えなくてもカラー写真が撮れちゃう(まあ、レンズの性能が、とかいう話はさておいて)。

もし仮に、それぞれの色に応じてそれぞれが同じように感光する材料をいろいろ用意してカラーフィルムを開発するとしたら大変です。しかし、感光の部分は従来通り銀にまかせておいて、色になるところだけを実現する。カメラマンはモノクロ時代と同じように露出を決めて撮影すれば、ちゃんとカラー写真が撮れるようになる、という解決策。いやほんと、知れば知るほどよく出来ています。

ともあれ、こうしてハロゲン化銀の現像が終わったフィルムには、発色しなかったカプラーと、画像にならなかったハロゲン化銀と、モノクロ画像になった銀、が残ります。

そして、これらの銀はカラー写真には不要なので、現像プロセスの後半で、ぜんぶ取り除いてしまいます。

プリントするときのカラー印画紙も、繰り返しになるので割愛しますが、同じ仕組みでカラー画像をつくり、銀は取り除いてしまうので残ってない、というわけなのです。

そうそう、ネガフィルムでは明るさ暗さが逆になってるのと同じく、色についても逆になっています。補色、といって、赤だったものはシアンに。緑はマゼンタ、青は黄色に、それぞれ発色しています。これをもう一回、カラー印画紙に投影して現像すると、もう一度逆になって、もとどおりの赤緑青になる、という仕掛けです。


なおカラーフィルムには、プリントを前提にしたネガフィルムとは別に、現像すると本来の色(ネガの反対なので、ポジという)になるフィルムがあります。ネガカラーに比べてコントラストが高くて、鮮やかな色彩が得られるのが特徴。
スライド上映して大勢で見たり(別に一人で見てもいいけど)、かつては商業出版印刷の写真原稿として使われていました。

リバーサルフィルム。スリーブ(左)とスライド用のマウント仕上げ(右)

このポジフィルムも、一番最初に感光するところは同じくハロゲン化銀です。そのままだとネガになってしまうので、発色の前に明暗を逆にする、「反転現像」という手順が入ります。反転、リバース、なので、この処理をするフィルムのことをリバーサルフィルムといいます。
その後はカラーネガと同様の発色現像が続くのですが、ネガと違うのは補色ではなくて、もともとの色(原色)が出るタイプの発色カプラーが塗ってある、というところです。
現像の後半でネガと同じく、銀はすべて取り除かれて、透明なベースの上に見た目と同じ色彩の画像が写ったフィルムができあがります。

そんなこんなで、カラーフィルムもカラープリントも、やっぱり「銀塩写真」の一種、なのでした。


ちなみに、ネガでもポジでも、なんてったって貴金属「銀」なので、現像所などで処理して取り除いた後の銀は、メーカーが回収してリサイクルしているそうですよ。捨てちゃったらもったいないですもんね。

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